第2回は、大気汚染について解説しました。
大気汚染は、工場の排煙や排気ガスなどに含まれる物質が大気中の物質と反応して汚染物質を生成し、人体や生活環境に悪影響を与えます。最近話題のPM2.5もこうした大気汚染に含まれます。
硫黄酸化物や窒素酸化物などは酸性雨とも関わってきます。こうした物質を除去したり減少させる技術の向上により、それらによる影響は以前ほどではなくなりました。また、PM2.5というのは耳にするけど、いったいどういう物質なのか、人体にどのような影響を与えるのかを解説しました。
第3回は、大気汚染のつづきとオゾン層の破壊について解説しました。
まず酸性雨についての定義などを解説しました。酸性雨はpHが5.6以下の雨のことです。これは大気汚染の認められない地域の雨でもこのくらいのpHを示すからです。自動車や工場から排出されるNOxやSOxが雨や雪に溶け込んだり、チリとなって地面に降下することが原因です。次に日本における現状を解説しました。酸性雨自体は観測されているのですが、樹木の成長量から見ると、森林の衰退は認められませんでした。森林は酸性雨だけではなく、オゾン暴露による影響や病虫害、動物による食害など、さまざまな要因が絡んげくるので、これらを総合的に判断することが必要です。
光化学オキシダントはNOxやVOCが光化学反応を起こして生成する酸化性物質です。これが光化学スモッグの原因で、屋外で目の痛みなどの症状が出ます。こうした公害が多発したため、当時の国会で、多くの公害関連法案が可決・成立しました。
オゾン層の破壊について説明しました。オゾンそのものは光化学オキシダントの原因になり、またオゾン殺菌といわれるように生物には有毒です。しかしオゾン層では、紫外線の地上への到達を弱められます。このようにオゾンは良い面と悪い面の両方を持ち合わせています。オゾン層を破壊するフロンについて、その開発の経緯や特定フロン、代替フロンとは何なのかを解説しました。フロンがどのようにオゾン層を破壊するのか、そのしくみについても解説し、最後に、フロン規制に関わる法律や現在行われている対策について解説しました。
第4回は、地球温暖化について解説しました。
地球温暖化対策は喫緊の課題として、各方面で議論されています。温暖化を引き起こす温室効果ガスは7種類ありますが、この中で二酸化炭素濃度の増加は産業革命以後の化石燃料の大量消費や森林の破壊などの人間活動が原因であるとされています。
気候変動に関するIPCC評価報告書の最新版では、「気候システムの温暖化には疑う余地はない」と記載されました。したがって温暖化は進んでいるといえます。この温暖化対策として様々な緩和策や適応策が考えられています。1997年のCOP3における京都議定書では、開発途上国における温室効果ガス削減プロジェクトや排出量取引を盛り込んでいます。
このような様々な取り組みにもかかわらず温暖化が進んでいます。これには自然現象のメカニズムの理解が難しいことや、急激な温度上昇を伴わないため被害の実感しにくいなどの要因が関係しています。
第5回は、水環境と水質汚濁について解説しました。
まず海洋と陸水について解説しました。陸水とは河川・湖沼・地下水といった海水以外全般のことです。その後、水の循環について解説しました。次に水質の指標としてよく用いられるものに、BOD(生物化学的酸素要求量)、COD(化学的酸素要求量)、大腸菌群数などがありますが、これらがどのようなものかを説明しました。
最後に生活排水の処理(下水処理、浄化槽)、農業排水の処理、産業排水の処理についてお話した後、上水処理(飲料水として用いられるように処理する)の仕方や下水処理、産業排水の処理について解説しました。
水は人間の生活と切っても切れないものなので、覚えておくと良いと思います。
第6回は、土壌環境と土壌汚染について解説しました。
まず、土壌がどのようなものか、粒径や構造、土壌の役割について解説した後、土壌汚染の原因やその対策について解説しました。特にブラウンフィールド問題は環境学の分野ではよく出てくるので、まとめておいてください。後半は地盤沈下について解説しました。地盤沈下は地面が徐々に沈んでいく現象ですが、地下水の過剰な汲み上げによりおきたり、天然ガス鹹水採取によりおきたりします。これらも現在では規制があります。
最後に砂漠化の話をしましたが、気候変動も関わる内容なので、対策も難しい面があります。
第7回は、バイオレメディエーションと森林の重要性の2つの内容について解説しました。
バイオレメディエーションは微生物を使った環境浄化に使われることが多く、植物を用いたファイトレメディエーションと別個に説明されることがあります。今回はファイトレメディエーションについて解説しました。この技術は植物により環境を浄化していくものですが、植物を植えることで、広範囲に汚染物質を除去できるという利点があります。その反面、汚染物質を吸収した植物をどのように処理していくかなど、いくつかの課題も残っています。
第8回は、生物多様性について解説しました。
生物多様性は「すべての生物の間に違いがあること」と定義され、生態系多様性、種多様性、遺伝的多様性の3つのレベルでの多様性があります。また人間の生活は自然の恵みに支えられており、これらは生態系サービスと呼ばれ、供給サービス、調整サービス、文化的サービス、基盤サービスの4つに分類されます。
しかし種の絶滅など、生物多様性はたびたび危機を迎えます。日本では、人間活動や開発による危機、自然に対する働きかけの縮小による危機、人間により持ち込まれたものによる危機、地球環境の変化による危機の4つがあり、現在進行しています。こうした生物多様性の保全のため、生物多様性条約が採択されました。
生物多様性の損失が社会経済活動にもたらす影響が注目され、生態系と生物多様性の経済学が研究されました。
生物多様性は環境系のキーワードとなるので、新聞やテレビなどでもよく取り上げられています。
第9回は、再生可能エネルギーついて解説しました。
二度の石油危機が起きたり、地球温暖化という新しい問題が起きたことにより、石油の代替エネルギーの利用が検討されるようになりました。そこで再生可能エネルギーが登場します。
再生可能エネルギーとは使っても資源が枯渇しない、水力、太陽光、風力などを利用するものです。日本は自然エネルギーの宝庫ですが、これらの利用についての現状と問題点を温暖化対策とともに解説しました。
第10回は、化学物質について解説しました。
まず化学物質のリスク管理に伴う法律や制度などを解説しました。次に、アスベストによる中皮腫、PCBによる中毒事件について触れました。過去には、非常に有用だと言われた物質が実はとても危険であり、人体に多大な影響を与えることを理解してもらえたらと思います。
最後に、後発医薬品について少し触れました。よく耳にするかと思いますので、どういうものかざっくりと理解しておくと良いと思います。
第11回は、廃棄物と3R、各主体の役割・活動について解説しました。
廃棄物は一般廃棄物と産業廃棄物に分けられます。また、有害廃棄物の場合は特別管理廃棄物と呼ばれます。
高度経済成長期やバブル経済期は「大量生産・大量消費・大量廃棄」の時代でしたが、社会・経済の発展や生活スタイルの変化などにより「循環型社会」に転換してきました。そして、リデュース(Reduce)、リユース(Reuse)、リサイクル(Recycle) の3Rというものが登場しました。また、各種のリサイクル法が制定されたため、廃棄物の排出量は2000年代前半から徐々に減少してきています。
後半は環境に関する話題によく出てくる言葉の解説です。参考にしてください。
第12回は生態学の応用的な面として植物工場について、植物の研究が関わる経済面や社会面への貢献を重点的に解説しました。
植物工場は、最近よく耳にするかと思いますが、単なるビニールハウスによる栽培とは違います。「工場」とつきますから温度や光環境の管理や養液管理などがコンピュータ制御されたり、またデータに基づいた管理を行うので農業の専門家でなくとも参入できたり、今後の発展次第では雇用の拡大なども見込めるかもしれません。
また、腎臓病患者向けに低カリウムレタスを栽培したり、イヌの歯周病の遺伝子をイチゴに組み込んで栽培するなどの利用法は、植物工場の特徴を十分に生かした方法です。
植物工場に関しては時々メディアに出てくるので、概略を理解していただけたらと思います。
第13回は、オンデマンド形式で人工光合成とリモートセンシングについて解説しました。
人工光合成について解説しました。植物は太陽光を使っていとも簡単に水を分解し酸素を発生することができますが、これを人工的に行おうとするとエネルギーを要します。有機化学の技術を使って色素を合成し、太陽光を集めて電気を起こすのが人工光合成です。光触媒や植物の行う光合成のどの部分を扱うのかなどの話をした後、色素増感太陽電池について解説しました。
植物が高い変換効率を示すのに対し、色素増感電池による人工光合成ではまだ変換効率が低いです。この変換効率の問題や低コスト化など、いくつかクリアしなければならない問題がありますが、今後期待できる分野でしょう。
リモートセンシングは気象衛星に代表されるように、離れた場所から計測できる技術のことです。航空機や衛星に搭載されたセンサーによって反射や放射をキャッチし、それをデータ化します。
しかし、そのまま使えるわけではなく、データの処理を行うことで、さまざまな解析が可能となります。詳しい原理はそれだけで半期の講義が終わってしまいますので、ざっくりと概要をお話しました。